2023/02/02 16:30

精油を抽出する際に使う蒸留器、通常は熱い蒸気を植物に通してそこに揮発成分として含まれる精油を冷却して液体化することで抽出します。これがいわゆる常圧蒸留と言われるものです。

そしてもう一つ、蒸留釜の中の圧を減圧機で軽減して、低い温度で水を沸騰させ低い温度の蒸気を通して成分を抽出する方法が減圧蒸留と言われています。精油の抽出方法にはほかにも様々な方法がありますが、今回はこの二つの方法のお話。

昔からの製法は常圧蒸留で本場ヨーロッパでも長くこの方法でとられています。私も通常はこちらの方法で抽出しています。同じ製法で抽出することで、成分の安定を図りたいのが一つの目的です。精油の多くは沸点が高く高温で抽出する方がより主要成分を多く引き出せたり、たくさんの成分が抽出できたりします。が、しかしこの方法で抽出できないものがあります。それは、日本人が最も好む香りの柑橘精油。
柑橘精油は通常、熱を通さず皮を削ってそれに圧をかけてスポンジ状のものに吸収させて搾り取る圧搾法(コールドプレス)で精油が抽出されます。なので、柑橘そのままのじつに力強くフレッシュな香りが抽出できるのが特徴ですが、柑橘の色素も一緒に抽出され、光毒性と言われる塗布したところに光が当たると皮膚にダメージを起こす毒性の成分も抽出されます。
これをさけるために減圧蒸留法で抽出されているのです。コールドプレスに比べ比較的柔らかな香りになりますが、高温の温度では壊れてしまうものがある柑橘の成分を比較的安定して抽出できる方法だと言えます。
他のハーブも減圧法で抽出すると、比較的やわらかい優しい感じの香りが抽出されます。高温で抽出されるいわゆる薬用系の香りが抑えられるからかもしれません。
バラ水は特に顕著で減圧抽出だと雑味と言うか常圧にはないクリアーな感じの香りが採れます。
植物の特性、そしてどういった成分を抽出したいのかによって蒸留方法は変わるのです。

世の中には私の手の届かない抽出方法がたくさんあります。
色々な抽出方法を試したいところですが、際限なく必要なものがございますので、情報収集してもよそ見はせず(^^;
今ある蒸留器と植物たちの関係をしっかり取り持ちたいと思う今日この頃です。